今、なぜ患者の声が必要なのか!?
より良い医療のために
基本的には、一つは、地域ごとに「医療ビジョン」を持つこと。滋賀県のある懇話会の座長をしていて思うに、住民が一般参加してどんな医療がいいかという勉強をしてもらいながら、医療機関と語り合えるような懇話会にしたいと思っているのです。
喩えて言えば、おいしいグッズ。病院・診療所・ケアシステムなど、「おいしいものが、あそこにありますよ」と、教えてやらない限り、消費者は自分のほしいものをゲットできないわけです。「これはおいしいものらしい」というグッズを作って普及させていければ、それが、住民が地域、地域でいいお店を選ぶ、つまり、いい医療機関を学んでいくことにつながるわけです。
私は、医療は、そういう「草の根」的な展開が必要だと思います。羽田澄子さんの作られた「終わりよければすべてよし」という在宅医療がテーマの映画がありましたが、「これがほしいもの」といった在宅医療の典型例をあちこちで探しまくる、そういう運動論が必要ですね。基本的に、医療の特徴として、「情報の非対称性」ということがいわれます。患者は何がよいかわからない。だからチョイスしにくいといわれるけれども、そういう情報の非対称を詰める努力も患者がやらなくてはいけない。しかし、情報の非対称性がある以上、患者には手の届かない部分がある。よいものを作るには、医療提供の側が、患者の意向に沿って動くようにしなければいけない。
ポイントは二つです。一つは「教育システム」で、それを直していく努力をしていかないといけない。教育システムとしては、総合医の教育に関しては「僻地医療」が大事です。大学が僻地というフィールドを持って家庭医を育てる。そういう講座を作っていくことで私は、僻地から総合医が育つのではないかと思い始めました。
もうひとつは、都市の医師の「グループ化」です。河北病院では、地域の開業医とのグループを作り、家庭医としてのたたずまいを持って病院と連携してほしいという勉強会を重ねています。共通の情報システムを作ろうという試みもしています。一言で言えば、在宅医療のグループ化ですが、退院後のリアルな話として、特に都市部においては、病院と家庭医という役割分担のネットワークシステムがぜひとも必要になってくるのです。そういうところを今度は大学が実習現場にして人を育てるような教育システムをどう作り上げていくかが課題です。良いものを評価して、動きを促進していくことが肝心です。
もう一点、患者が動ける場として「健保組合」や「国保組合」の保険者があります。保険者というのは、加入者のエージェンシーですから、保険者側がどんな医療がありますよ、こういう受け方がありますよ、といった患者への自己啓発を含めて、私は保険者がもう少し、医療システムとしての「消費者運動」を手がけるということもあっていいのではないかと思います。





