特定健診・保健指導が始まってもうすぐ1年。さまざまな地域で、保健指導の状況を伺う機会があった。保健指導の状況から、日本の現状について、将来について考えさせられることが多い。抱える問題の地域差は、考えている以上に大きく、日本は広い、と感じた。1人1人、コツコツと仕事をこなすことにより、結果的に大きな成果を生み出さなくてはいけないことに対して、今、行っていることが本当に大きな成果を生むのか、方向性が間違っているのではないかと不安になったり、ちっぽけな自分を感じたりする。保健指導に携わる人は、一度はそんな経験があるのではないだろうか。私は、「病気にさせない」という想いを「保健指導」という形で実行し、成果を出すことにより、現在の医療制度を継続させることにつながると信じて仕事をしている。指導では、「対象者」という目の前にいる人に対し実施しているが、頭の中の視線はできる限り、遠い将来を見据えて仕事をするように心がけている。
健診の受診率が低いことが問題になっている。一般的に、健診は病気を見つけることが目的であると考えられている。確かに、病気を見つけることは重要であるが、もう1つ、"1年間のエネルギーや栄養素の出納がどうであったかを確認する"という、たいへん有用な目的があげられる。エネルギーを摂りすぎていれば(エネルギーの消費が少なければ)、腹囲や体重、体脂肪が増加する。食事内容の偏りや、摂取量の増減によって、血液検査項目にも変化が表れる。このような、さまざまな変化を確認し、その原因を考え、原因から改善点を見つけ、改めて1年間生活することにより、"病気にならない身体"をつくることができるのだ。受診したくないという人と話をしていたとき、このような「健診の目的」をきちんと再確認してもらうことが必要ではないかと感じた。
さらに、保健指導を受けたくない、という人と話をしていて感じるのは、メタボの解消を理解してもらう前に、"保健指導とは何か"を理解してもらうことが重要であるということだ。病気にならない身体は、魅力がある。その身体となるために、あるいは、維持するために、守るべきものがある。守るものや守り方が、わからなかったり、間違っている人に対し、何を守るべきかや、方法を教えてあげたり、矯正したり、また、元に戻らないよう見守ってあげる。それが「保健指導」なのだと思う。
ボタンをかけ違えたままでは上手くいくはずもなく、ボタンをかけ違えたことに気づいてもらうためには、今までやってきたことを1度は否定しなくてはならない。そして、かけ違えを正すためには、最初から始めなくてはならないことを自分自身の中で承諾するという、ストレスのかかる心の整理が必要だ。何度も失敗を繰り返さないために、このボタンの掛け違いを認め、次に進む勇気をもってもらうよう、支援者は導かなくてはならない。
この1年間を振り返り、来年に向かって進んでいきましょう。特定健診・保健指導は、大きな意味のある事業です。
実行委員会委員 鈴木志保子
(神奈川県立保健福祉大学
保健福祉学部栄養学科教授)

























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