メタボリックシンドローム撲滅運動(2/4) 
  「第2回実行委員会 具体的な方策を検討」
2007.11.17

■「メタボビクス」「メタボウオーク」提案

 メタボリックシンドローム撲滅委員会の第2回実行委員会(リーダー=宮崎滋・東京逓信病院内科部長)は9月27日、東京で開かれた。

 メタボの予防・治療について具体的な方策を検討する同委員会では、効果的な運動療法として提案している「メタボビクス」「メタボウオーク」について、効果的な実施方法などについて説明。腹囲100センチ以上の男女を対象にした特別企画の「100(ワンハンドレッド)倶楽部」について話し合った。出席者は宮崎氏のほか、和田高士・東京慈恵会医科大学新橋健診センター所長▽中川徹・日立製作所健康管理センタ主任医長▽宮地元彦・国立健康・栄養研究所プロジェクトリーダー▽斉藤満・社団法人日本ウオーキング協会事務局長▽菅野隆・健康創研代表。

                   ◇

○実行委員会をどのような形で進められますか

 宮崎氏 実行委員会の活動としてはまず、「メタボリックシンドロームPro.」などネット上のものなどを一つ一つ検討して充実し、メタボリックシンドロームを少しでも減らせるような会にしていきたいと思います。

○まず、メタボ予防の手軽な運動プログラム「メタボビクス」について監修者の立場からご意見を

 宮地氏 メタボビクスは、筋力トレーニング系のプログラムを先にネットに掲載していますが、まだごく一部しか掲載しておらず、これから順次アップしていきます。もう1つは、メタボウオークです。メタボを改善するのに、より効果的な歩き方を探究できないかということです。普通に歩くのと、どれぐらいエネルギー消費量が違うのかというエビデンスのデータがそろった段階で、ホームページに載せていきます。

○原案を作られた立場から

 菅野氏 メタボビクスは、短時間で、いつでも、どこでもできる24のエクササイズを提案することが最初の発想でした。歩くことは、だれでも1日何千回は行っている、身体活動の基本です。歩きにちょっとした工夫を加えることで、全身の代謝を高め、脂肪の燃焼なども促進できる可能性があります。基本編で5種類、あとは、余裕のあるときに人目につかないところで、トレーニングを目的にバリエーション・ウオーキングとしてエクササイズを歩きながら行う、といったイメージです。これが、今後のメタボリックシンドローム撲滅委員会のウオーキングの中で使われていって、そのエビデンスなどが検証されていくということは、非常におもしろく、有意義なことだと思います。

○メタボ撲滅委員会では、腹囲が100センチ以上の30?50歳代の男女を対象にした企画「100倶楽部」を創設しました。1次の募集は20人で減量プログラムによる腹囲減少と食生活の改善運動、活動量増加の継続といったプランに参加してもらい、目標を達成できたかどうかを調べ、メタボ予防の有効な方法を探ります。

 宮崎氏 なかなか楽しいプランではないかと思いますが、基本的にはこのように減量の結果が公開されるという条件だと、大変モチベーションが上がります。おそらく大体8、9割の人は成功するでしょう。ただ、問題の一つは、忙しい年齢の人なので、やりたくてもやれない。まず、どうやっていいかわからない。

 次は、やろうとしてもできない。いろんな理由があるわけですが、一生懸命やる人とか、抜ける人とか、いろいろあります。そして、その中では、例えば、ウオーキングをよくやった人とか、食事に気をつけた人とか、学術研究とは違った個人の持ち味が出て、自分のやり方を見つけだされると思います。ウエストが100センチ以上の人は、100キロ近い人だと思うので、減らすのは大変ですが、まず一歩を踏み出させるかという試みとしては、大変おもしろい。なおかつ、内臓脂肪を測るCT(コンピューター断層撮影)のデータが非常に改善すると実感を得られれば、おそらく3カ月後も続くでしょう。

 和田氏 例えば、自分が減量する前、どんなライフスタイルなのかというのも提供していただいて、介入の前後でどのような違いがあるのかということを出していただく。うまくとんとん拍子にいくわけでは多分ない。何に自分は注意をしているのか、何がつらいのか。空腹に耐えられないのかどうかを書いていただくとか。毎日は無理かもわかりませんけれども、1週間ごとに報告していただくのもいい。

 中川氏 評論家の岡田斗司夫さんが『いつまでもデブと思うなよ』という新書を書かれましたが、110キロから1年間で50キロやせられた。何をするかと言うと、毎日の食べた物を全部手帳に書き出す。レコーディング・ダイエットと提唱されています。残った記録は、ものすごい財産になる。例えば、今回の20人の方が一堂に会して、それぞれご自身の考えを話し合っていただく、そういうデータが集まるだけでも、相当貴重なことじゃないか。

 宮地氏 3カ月で5センチ減量を目指しますが、運動の専門家の立場から言うと、400から450キロカロリー分の食事を我慢するか、もしくは運動するかということになります。単純に歩行だけだと、今の生活に9000歩から1万2000歩をプラスアルファしなければいけない。例えば、普通、人間というのは、一般的に国民健康・栄養調査を見ても、8000歩しか歩かないのですから、それを2倍以上に増やすということで、いかにこの計画が大変なことかわかります。

 だから、食事と運動の介入を抱き合わせなければいけません。両者をどのような割合にするか、栄養と運動の専門家できちんと計画を立てなければならない。そのためには、その人が、どんなひどい食生活をし、どんな身体活動状況にあるのかというベースラインのアセスメントをきちっとしておく必要があります。

 そこから、その人に合ったやり方を、アドバイスできるかどうかが、本当にこの目標を達成できるかどうかの重要なキーになるでしょう。

 斉藤氏 ウオーキングとしては、平日にはライフスタイルのウオーキングを、通勤・通学時に道を変えて、気分転換、ちょっと早めに出ていただいて、その後、買い物に行くときも、いつもと違うルートを歩いていただくとか。休日には、里山とか、ロング・ウオークをしていただきたい。名所、旧跡を訪ねて、車を使わずに歩いていただく。そのさい、準備運動に加えて、終わったあとのストレッチも必要なので、それについても考えていきたい。

 菅野氏 誰でも平均で1日8000歩は行っているウオーキングの質を高める工夫をすることによっても、かなり効果が期待できると思います。

 中川氏 企業の方で、メタボの30代、40代を集めて、介入研究をしました。51人が90日間、体重を朝晩つけました。6割の人は、目標体重5%減量に成功して、メタボ解除。20%の方が、目標体重に達成したが、中性脂肪が落ち切らずに、メタボ解除にならなかった。8人は体重が1キロしか減らなかった。ところが、この8人を糖尿病の先生に紹介すると、3カ月分のデータを見て、すばらしいとほめた。

 つまり、長期間の血糖値がわかるヘモグロビンA1cが、平均7を超えていたのが、6・4まで下がっていた。話を聞くと、深夜に間食をとらなくなっているんです。朝、体重をはかることによって、深夜帯に2リットル清涼飲料水を飲むことなどはやめていた。そういうふうに空腹時間を整えられるとか、記録することによって、失敗しない。だから、続けていただけることがどれほど重要か、と思います。

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 ≪実行委員会メンバー≫

 リーダー

 宮崎 滋 東京逓信病院内科部長

 委 員

 【医療分野】

 片山 茂裕 埼玉医科大学第4内科(内科学内分泌・糖尿病内科部門)教授

 和田 高士 東京慈恵会医科大学新橋健診センター所長

 中川 徹 日立製作所健康管理センタ放射線診断科主任医長

 横出 正之 京都大学探索医療センター・探索医療臨床部長・教授

 【医療・保健指導分野】

 津下 一代 あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長

 野口 緑 兵庫県尼崎市国保年金課・保健師

 【運動指導分野】

 宮地 元彦 国立健康・栄養研究所健康増進プログラム運動ガイドラインプロジェクトリーダー

 斉藤 満 (社)日本ウオーキング協会事務局長

 菅野 隆 健康創研代表・健康運動指導士

 【食事指導分野】

 鈴木志保子 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科准教授(管理栄養士、医学博士)

 柴崎 千絵里 東京女子医科大学病院栄養科

 小野 真実 NTT東日本首都圏健康管理センタ保健支援科


(2007/11/17)



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委員長
   松澤 佑次(日本肥満学会理事長/(財)住友病院院長)
委 員
   門脇  孝(日本糖尿病学会理事長/東京大学大学院教授)
   島本 和明(日本高血圧学会理事長/札幌医科大学学長・理事長)
   北   徹(日本動脈硬化学会理事長/神戸市立医療センター中央市民病院院長)
   齋藤  康(日本肥満学会理事/日本動脈硬化学会理事/千葉大学学長)
   渡邊  昌生命科学振興会理事長)
   中尾 一和(日本内分泌学会前理事長/京都大学大学院医学研究科 内科学講座内分泌代謝内科教授)
   齋藤  勉(産経新聞社常務取締役 編集・論説・正論・写真報道担当)
   平田 篤州(産経新聞社総合企画室長)
   宮本 幸一(ニッポン放送専務取締役)
   中村 芳章(フジテレビジョン事業局長)
オブザーバー
   上田 博三(厚生労働省健康局長)
   木村 博承(厚生労働省健康局 生活習慣病対策室長)
   春日 雅人(国立国際医療研究センター研究所長)
   小林三世治(第一生命保険 支配人・健康増進室長)
リーダー・総合監修
   宮崎 滋(東京逓信病院副院長・内科部長)
医学分野
   片山 茂裕(埼玉医科大学病院院長・埼玉医科大学内科学 内分泌・糖尿病内科教授)
   横出 正之(京都大学医学部付属病院 探索医療臨床部 教授)
   和田 高士(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授・同附属病院新橋健診センター所長)
   柴 輝男(三井記念病院糖尿病代謝内科部長)
   中川 徹(日立製作所健康管理センタ放射線診断科主任医長)
医療・保健指導分野
   津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長)
   野口 緑(尼崎市環境市民局市民サービス室 健康支援推進担当課長)
運動指導分野
   宮地 元彦(国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム運動ガイドライン プロジェクトリーダー)
   斉藤 満((社)日本ウオーキング協会事業部長)
   菅野 隆(日本健康運動研究所代表・健康創研代表・健康運動指導士)
食事指導分野
   鈴木志保子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授)
   柴崎千絵里(東京女子医科大学病院栄養管理部)
   小野 真実(女子栄養大学栄養学部専任講師(食生態学研究室))
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