特定健診(2/2)
2008.03.22

■測定だけでなくフォローも

--- 腹囲径は国によって違いがあるようですね

 違って当たり前でしょうね。例えば欧米の人たちと日本人とでは、体形が違うし、太っているのが当たり前の社会と、どちらかというとスリムな人が中心の社会とでは、同じ基準でものを考えることはできないわけです。脳卒中を起こしやすいわが国特有の理由を考えても、最終的には、メタボリックシンドロームに突き当たるし、スリムな日本人でも、見た目にやせていても、脂肪組織が悪さをしているかもしれません。もちろん、科学的に不透明なところは明確にしていく必要があります。ただ、こういう健康診断の際には、ある一定の数値を基に線引きする必要があります。これは公衆衛生学的に重要なことであって、それとサイエンティフィックに重要なこととをごちゃ混ぜにすると、議論がおかしなことになります。

 サイエンスで考えれば、内臓脂肪の量がすごく重要なことで、それが多いものが確かにいろいろな悪さを起こしてくることはわかっていますが、一般化して浸透しやすい目安となると、腹囲径ということになるわけです。それで90%以上のメタボリックシンドロームを見つけ出すことができることが公衆衛生学的に重要なことなのです。

--- 女性は、もともと心血管病が少ない

 40代、50代ぐらいまでは、男性と比べ極めて少ないです。しかし、その後はぐんぐん上がり始め、わが国では70歳ぐらいで男女比10対9となり、まだ男性の方が多い。女性の腹囲径90センチは大き過ぎるのではという議論もありますが、8年前、2000年に日本肥満学会で肥満症のガイドラインを作成した当時、以前の調査に基づいて女性90センチというのが、すでに「内臓脂肪型肥満」を示す数字として採用されていたのです。

 われわれにしてみればごく当たり前の数値ですが、メタボリックシンドロームの診断基準として設定され論議の的になり始めたのです。多少、大き過ぎるかなという意見もありますが、今後エビデンス(科学的証拠)を積み重ねて再考の余地があれば、再検討していこうとの考えです。

--- HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪については

 両者とも肥満との関係が非常に強い。HDLコレステロールが低い人は極めて動脈硬化を起こしやすいが、それほど話題にならなかったのは、これに対するいい薬がなかったことにもよるのです。HDLコレステロールを上げ、中性脂肪を下げるには、運動が非常に効果的で、ともに生活習慣に密接に関連していることがわかります。特に30代、40代男性の中性脂肪が上がってきています。メタボリックで一番問題になるのは、こうした生活習慣が最も悪くなる世代の30代、40代の男性だと思うのです。

--- 脳卒中も多いとか

 今、僕らが一番恐れていることは、入院患者さんをみても、50代前半の脳梗塞がすごく増えていることです。昔は、60代後半から70代の病気だったのですが、徐々に年齢が下がってきています。心筋梗塞も二極化して昔は63、64歳がピークだったのですが、最近、30代でも頻繁に出始めているのです。そういう人たちに限って肥満、脂質異常、糖尿病もありという状態で、それらが重なって心筋梗塞に至るわけで、由々しき事態なのです。恐らく将来的には、日本でもかなり心筋梗塞などの冠動脈疾患が多くなると思われます。

--- 「特定健診・保健指導」について

 今回の特定健診・保健指導は、メタボリックシンドロームと完全に一致しているものではありません。メタボリックをひとつのカテゴリーとして、動脈硬化を起こしやすい人を引っ張り出そうというのが大きな狙いです。ですから、メタボリックの基準と一緒に、LDLコレステロールや喫煙者のチェックが入っているのです。今までの国のやり方は、測るだけで終わってしまいましたが、今回は、ちゃんと評価してその後の検証もするわけで、日本の健康行政の中では、ものすごい進歩だと思います。

 こういうことをすることによって、10-20年後に心血管病がどの程度減るのか増えるのか、年ごとにみていけば、これは一つの壮大な調査になります。こうして集まった情報はアジアでも世界各国でも使える貴重な資料になります。

                   ◇

【プロフィル】寺本民生

 てらもと・たみお 東京大学医学部卒業。同大学付属病院第1内科、シカゴ大学留学、東京大学第1内科医局長、帝京大学第1内科助教授などを経て、平成13年、同大医学部内科主任教授。日本内科学会・日本動脈硬化学会理事、日本肥満学会評議員など。

(2008/03/22)


第一生命
オムロンヘルスケア

    メタボリックシンドローム撲滅委員会とは メタボリックシンドローム撲滅運動キャンペーンの活動 メタボリックシンドローム撲滅運動 協賛各社の取組み
小児肥満
委員長
   松澤 佑次(日本肥満学会理事長/(財)住友病院院長)
委 員
   門脇  孝(日本糖尿病学会理事長/東京大学大学院教授)
   島本 和明(日本高血圧学会理事長/札幌医科大学学長・理事長)
   北   徹(日本動脈硬化学会理事長/神戸市立医療センター中央市民病院院長)
   齋藤  康(日本肥満学会理事/日本動脈硬化学会理事/千葉大学学長)
   渡邊  昌生命科学振興会理事長)
   中尾 一和(日本内分泌学会前理事長/京都大学大学院医学研究科 内科学講座内分泌代謝内科教授)
   齋藤  勉(産経新聞社常務取締役 編集・論説・正論・写真報道担当)
   平田 篤州(産経新聞社総合企画室長)
   宮本 幸一(ニッポン放送専務取締役)
   中村 芳章(フジテレビジョン事業局長)
オブザーバー
   上田 博三(厚生労働省健康局長)
   木村 博承(厚生労働省健康局 生活習慣病対策室長)
   春日 雅人(国立国際医療研究センター研究所長)
   小林三世治(第一生命保険 支配人・健康増進室長)
リーダー・総合監修
   宮崎 滋(東京逓信病院副院長・内科部長)
医学分野
   片山 茂裕(埼玉医科大学病院院長・埼玉医科大学内科学 内分泌・糖尿病内科教授)
   横出 正之(京都大学医学部付属病院 探索医療臨床部 教授)
   和田 高士(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授・同附属病院新橋健診センター所長)
   柴 輝男(三井記念病院糖尿病代謝内科部長)
   中川 徹(日立製作所健康管理センタ放射線診断科主任医長)
医療・保健指導分野
   津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長)
   野口 緑(尼崎市環境市民局市民サービス室 健康支援推進担当課長)
運動指導分野
   宮地 元彦(国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム運動ガイドライン プロジェクトリーダー)
   斉藤 満((社)日本ウオーキング協会事業部長)
   菅野 隆(日本健康運動研究所代表・健康創研代表・健康運動指導士)
食事指導分野
   鈴木志保子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授)
   柴崎千絵里(東京女子医科大学病院栄養管理部)
   小野 真実(女子栄養大学栄養学部専任講師(食生態学研究室))
メタボリックシンドローム撲滅委員会
産経新聞社
フジテレビジョン
ニッポン放送
フジサンケイ ビジネスアイ
厚生労働省
学会
日本肥満学会日本動脈硬化学会日本高血圧学会日本糖尿病学会日本循環器学会日本腎臓学会日本心臓病学会日本内分泌学会日本血栓止血学会日本歯科医学会日本歯周病学会日本抗加齢医学会日本CT検診学会日本人間ドック学会日本総合健診医学会日本食物繊維学会日本プライマリ・ケア連合学会
社団・財団・協会
日本医師会日本臨床内科医会日本歯科医師会日本栄養士会日本薬剤師会健康・体力づくり事業財団日本糖尿病財団日本心臓財団日本看護協会日本フィットネス産業協会日本製薬工業協会日本OTC医薬品協会日本生活習慣病予防協会日本健康運動指導士会全国保健センター連合会全国保健師長会日本ウオーキング協会日本健康スポーツ連盟健康保険組合連合会健康日本21推進全国連絡協議会
協力団体
高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム
メディア
サンケイリビング新聞社扶桑社
協賛各社
第一生命保険相互会社 アステラス製薬株式会社 オムロン・ヘルスケア株式会社 グラクソ・スミスクライン株式会社
第一三共株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 日本酪農乳業協会
賛助企業
株式会社カーブスジャパン