「特定健診・保健指導」2カ月 (1/2) ■「脱メタボ」各地で工夫
2008.05.23

■京都医療センター予防医学研究室長・坂根直樹氏に聞く

 ■「仲間と支え合い」「市民一体」…

 「特定健診・保健指導」がスタートして、ほぼ2カ月、「メタボ予防」を骨子としながらも自覚症状がないだけに、各地域・医療者らは、さまざまな工夫・アイデアをこらして取り組んでいる。減量と運動が継続して実行できれば、糖尿病などの生活習慣病が半減することも不可能ではない。少しやせるだけで驚くほどリスクが下がる。どう指導したら成果が挙がるのか?。健診結果をじっくり説明するのはもちろんだが、グループワークで仲間同士支えあったり、市民一体となって「サンサン運動(3カ月で3キロやせる)」を繰り広げているところも。「本人のやる気が引き出せれば、必ず結果が出せる」。長年、地域や職域でダイエット教室などを続けてきた独立行政法人国立病院機構京都医療センター予防医学研究室長の坂根直樹氏に聞いた。

--- 医療者としても、活発な活動をされていますね

 病院と、複数の市町村・企業との双方でメタボ予防にかかわっています。以前から、地域住民を相手にダイエット(食事療法)教室や運動教室を続けてきて、ある程度成果も挙げてきましたが、そこでわかってきたのは、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、自覚症状がないのでやせる気が起こらず、改善意欲が乏しくなりがちなことです。病院には危機感を抱いている人が多く、1対1の指導でもある程度の効果は出るのですが、地域のダイエット教室では1対1というのは、限界を感じることもあるのです。

--- というと

 1対1だと、仕事が忙しい、飲む機会が多いと抵抗されることが多い。いろいろ考えたすえ、単独指導よりもグループで、仲間意識をもってともにやせていくことがいいのではないかと。男性ばかりだと「あいつには負けたくない」「あいつがやせられたのに、おれだけやせられないのは恥ずかしい」そういう意識が生まれる。会社という組織で動き慣れている人には、組織的に動いた方がうまくいくみたいで、グループで集まったうえで、「減量目標」を決めさせます。皆がやる気になってきたら、2時間くらいのグループセッションを組んで、最後に「減量宣言書」を書いてもらいます。「私は健康づくりのために、三日坊主にならない『ゆっくり確実ダイエット』にチャレンジします」という文面。開始日もサインして3カ月後にお会いしましょうとなるわけです。

--- 従来との違いは

 以前は、一方的な情報提供型、つまり講義形式の健康教育だったといえましょう。例えば、私のかかわっている京都市伏見保健所深草支所では、平成14年から「生活習慣病予防教室」を開催していましたが、一時申込者は減るばかりで、参加者の「行動変容」にもなかなか結びつかなかったようです。そこで17年度から30人ほどの、グループワークを中心としたダイエット教室に。つまり体験学習型の参加形式に切り替えたわけです。18年度からは「楽しくて効果の出る教室」をコンセプトに行動科学に基づいたプログラムを開発し、その効果も検証することにしたのです。

--- いろいろと工夫されたのですね

 広報タイトルは、「3日でマスター! 3カ月で3キログラムダイエット」と目標値をわかりやすく、明確にしました。成功体験談も掲載しテキストには、「体重記録」を子細に記入してもらう。講師・スタッフ企画会議を催し、参加者が無理なく順次目標に到達できるプログラムを作成。終了後は、評価会議を開催して表彰も行います。そうしたグループワークやペアワークが功を奏したのか、17年度からは申込者も2倍、3倍となり、参加者の肥満度・ウエスト周囲径なども明らかに改善。体重で平均3.2キロ、ウエスト径でも4センチ近く減ったのです。

--- サポーター(支援役)も大事だと

 サポートの仕方で成果も違ってきます。本人の宣言書に「あなたの減量を心から応援しています」という応援メッセージもつけますが、「応援者」としてサインするサポート役には経験上、ともに減量チャレンジしている教室の仲間同士がサポーターになると、成績がいいのです。

--- 市民運動というと

 グループ教室とは別に兵庫県加東市では、「サンサンチャレンジ(3カ月で3キロやせる)」という市民大運動を保健師さんたちと一緒に取り組んでいます。いわば、ポピュレーションアプローチでもありますが、市民一丸となって健康づくりに挑戦しようという試み。314人の参加者には、携帯電話にメール登録してもらい、保健師らが週に何回か「やせるコツ」や「こんなときどうする」などのダイエット情報をメール配信し、ときには、“癒やしメール”なども送ってフォローします。

--- その結果は

 3カ月で3キロやせた人が31.8%に達し、平均でも約2キロ減となりました。結構実績は挙げられているのです。他の自治体でも1対1よりグループワークの方がよい結果が出ているようです。講義形式群と、グループ支援群との比較調査を行ったところ、講義形式だけでは、平均体重はあまり変化がありませんでしたが、グループ支援群では、平均4キロもやせていました。結局、ダイエット教室や保健センターなどでいくら呼びかけても来ない人は来ないような気がします。少数でもやせようと努力する人がいれば、周りの人たちもみてダイエットの輪が広がっていく。町自体が健康になろう、そういう市民ぐるみの健康意識の高まりが重要だと思われるのです。

(2008/05/23)


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