特定健診・特定保健指導(2/3)生活習慣改善、日々継続が大事
2008.07.20

渡邊氏 私どもは3年前から肥満した人を対象に行っているプログラムで、1年間相当密に行動変容をして、体重が5%減った人がやっと51%ぐらい。当初の目的の10%減った人はわずか4分の1です。個人の行動変容を国民運動にするのは相当難しいことで、本人が自分のQOLを死ぬまで高く保つには、どういう生き方をすればいいのか、心から納得していただくのが大事です。それでメタボ撲滅委員会では、トライアルで3カ月間一生懸命やって、かなりの人がうまくやせたそうですので、そういう人たちがリーダーになって、コアをだんだん増やしていくというのが、うまく成功する道ではないかと思っています。

 日本人は個人のレベルの話と公共の話とがいつも混在します。たとえば、禁煙というと、たばこは個人の嗜好だからほっといてくれという話が出ますが、たばこで実際病気になった人は健康保険を使います。一生懸命に禁煙している人の保険料も使って、自分の疾患を治すことになる。メタボも同様で太っているのは勝手といっても、心筋梗塞になってバイパス手術するときは、必ず保険を使う。私も歩くことなどで17キロやせましたが、いかに身軽に運動できる体が自分にとって快適かということを実感してもらう。肥満からもとに戻って初めて健康の意味が心底わかるようになるので、ぜひそれを広げていただければと思います。

春日氏 この撲滅委員会では、1年目にはメタボという言葉や概念の普及に貢献し、2年目は実際にメタボ予防のために、いろいろ運動を展開してきました。3年目は、最初の意気込みをいかに継続していくかということが課題になるでしょう。

 それから、もう一つは、最近のある研究では、人の脂肪細胞の数は幼児期から20歳までの間のみ増えるという報告があります。幼児や小学生のころの肥満を予防することが、メタボをなくすキーポイントかもしれません。実際、幼児期の肥満児童は、75%以上が大人になっても太っているらしい。幼児期に正常体重であれば、成人になって肥満するのは10%以下ということから考えると、幼児期から中学生ぐらいまでの食育を含めた教育が非常に重要だと思います。

 また、生活習慣というのは非常に細かいことの積み重ねです。1日ちょっと食べないことを例えば1カ月続けると、計算上はすごく体重が減る。逆だと大変に太ってしまう。メタボを予防できるかは、日々の小さな努力の積み重ねだということを、再認識していただくことも重要かなと思います。

松澤氏 メタボが国のプロジェクトのターゲットになったために、この症状の予防だけですべての動脈硬化を減らすというふうに誤解されている方がまだ多い。やせていても、高血圧などリスクが重なっている人に対しては、ひとつひとつのリスクを治療していく必要があるのです。メタボを診断する目的は、薬よりも生活習慣の改善を優先する人を選び出しているという位置づけを再認識する必要があります。

 生活習慣については、社会環境の問題も大きい。運動不足になりやすい環境とか飽食時代の環境に加えて、教育や子供の問題については外で遊べないなど社会的な要因もある。安全な自転車道路や運動できるグラウンドの整備を呼びかける啓発運動も大事でしょう。

 さらに、保健指導する人材の育成についても、関連学会が共同で指導して、認定書を出すようなシステムをつくり、特定健診の制度に参加する動機付けを高めていくという考えはいかがなものでしょうか。

関 氏 国の研修としては、特定健診・特定保健指導を担う医師、保健師、管理栄養士をはじめ、関係者の方々を対象に、国立保健医療科学院で3日間の研修を今年度も2回行いました。この内容を地元に持ち帰って、自治体主催などの研修会で講師になっていただき、逆に新たな地域での問題点を国や同僚参加者へ還元していただくことにより、関係するプロの皆さま相互のネットワークを密にすることができたらと思っています。

 現在行われている取り組みに、さらに認定書といった要件を上乗せするようなことは今のところ考えておらず、まずは研修や情報交換などを通じて実質的な資質向上をいかに図っていけるかと考えています。

 また、保健師、管理栄養士の人材確保については、今後、事業規模の広がりに呼応して、専門的資質を備えた人材の充足を図っていく必要があります。専門家サイドの取り組みとして、例えば、日本栄養士会が中心になって、全国47の都道府県の栄養士会が栄養ケア・ステーションを組織し、必要なときに管理栄養士などが支援に行くという仕組みをつくっています。非常に使命感を持って取り組んでおられる感じはしています。

松澤氏 今回の制度は、国際的にも非常に注目されており、何とか成功させていただきたい。種々の批判に対してもきめ細かくきちんと説明して、建設的によい方向に進めていただきたい、と思います。

(2008/07/20)



第一生命
オムロンヘルスケア

    メタボリックシンドローム撲滅委員会とは メタボリックシンドローム撲滅運動キャンペーンの活動 メタボリックシンドローム撲滅運動 協賛各社の取組み
小児肥満
委員長
   松澤 佑次(日本肥満学会理事長/(財)住友病院院長)
委 員
   門脇  孝(日本糖尿病学会理事長/東京大学大学院教授)
   島本 和明(日本高血圧学会理事長/札幌医科大学学長・理事長)
   北   徹(日本動脈硬化学会理事長/神戸市立医療センター中央市民病院院長)
   齋藤  康(日本肥満学会理事/日本動脈硬化学会理事/千葉大学学長)
   渡邊  昌生命科学振興会理事長)
   中尾 一和(日本内分泌学会前理事長/京都大学大学院医学研究科 内科学講座内分泌代謝内科教授)
   齋藤  勉(産経新聞社常務取締役 編集・論説・正論・写真報道担当)
   平田 篤州(産経新聞社総合企画室長)
   宮本 幸一(ニッポン放送専務取締役)
   中村 芳章(フジテレビジョン事業局長)
オブザーバー
   上田 博三(厚生労働省健康局長)
   木村 博承(厚生労働省健康局 生活習慣病対策室長)
   春日 雅人(国立国際医療研究センター研究所長)
   小林三世治(第一生命保険 支配人・健康増進室長)
リーダー・総合監修
   宮崎 滋(東京逓信病院副院長・内科部長)
医学分野
   片山 茂裕(埼玉医科大学病院院長・埼玉医科大学内科学 内分泌・糖尿病内科教授)
   横出 正之(京都大学医学部付属病院 探索医療臨床部 教授)
   和田 高士(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授・同附属病院新橋健診センター所長)
   柴 輝男(三井記念病院糖尿病代謝内科部長)
   中川 徹(日立製作所健康管理センタ放射線診断科主任医長)
医療・保健指導分野
   津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長)
   野口 緑(尼崎市環境市民局市民サービス室 健康支援推進担当課長)
運動指導分野
   宮地 元彦(国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム運動ガイドライン プロジェクトリーダー)
   斉藤 満((社)日本ウオーキング協会事業部長)
   菅野 隆(日本健康運動研究所代表・健康創研代表・健康運動指導士)
食事指導分野
   鈴木志保子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授)
   柴崎千絵里(東京女子医科大学病院栄養管理部)
   小野 真実(女子栄養大学栄養学部専任講師(食生態学研究室))
メタボリックシンドローム撲滅委員会
産経新聞社
フジテレビジョン
ニッポン放送
フジサンケイ ビジネスアイ
厚生労働省
学会
日本肥満学会日本動脈硬化学会日本高血圧学会日本糖尿病学会日本循環器学会日本腎臓学会日本心臓病学会日本内分泌学会日本血栓止血学会日本歯科医学会日本歯周病学会日本抗加齢医学会日本CT検診学会日本人間ドック学会日本総合健診医学会日本食物繊維学会日本プライマリ・ケア連合学会
社団・財団・協会
日本医師会日本臨床内科医会日本歯科医師会日本栄養士会日本薬剤師会健康・体力づくり事業財団日本糖尿病財団日本心臓財団日本看護協会日本フィットネス産業協会日本製薬工業協会日本OTC医薬品協会日本生活習慣病予防協会日本健康運動指導士会全国保健センター連合会全国保健師長会日本ウオーキング協会日本健康スポーツ連盟健康保険組合連合会健康日本21推進全国連絡協議会
協力団体
高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム
メディア
サンケイリビング新聞社扶桑社
協賛各社
第一生命保険相互会社 アステラス製薬株式会社 オムロン・ヘルスケア株式会社 グラクソ・スミスクライン株式会社
第一三共株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 日本酪農乳業協会
賛助企業
株式会社カーブスジャパン