メタボリックシンドローム撲滅運動
・第2回撲滅委員会(1/2)
■女性の「やせ傾向」も問題
2009.01.17

 今年度の第2回メタボリックシンドローム撲滅委員会が、昨年12月4日、大阪市のリーガロイヤルホテルで開かれた。日本動脈硬化学会と日本高血圧学会のガイドライン、長寿県の長野県で行われている肥満克服プログラムについて報告があり、メタボとのかかわりについて話し合った。参加者は委員長の松澤佑次・住友病院院長▽北徹・神戸市立医療センター中央市民病院院長▽島本和明・札幌医科大学教授▽渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長。

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■女性の「やせ傾向」も問題
◆住友病院院長 松澤佑次氏

 メタボリックシンドロームや予防医学について、国民の認識が極めて高い状況になったことは、この撲滅委員会の一つの成果であろうと思います。今後は異なる分野に対しても、情報を発信していきたい。

 特に成人男性の肥満、運動不足をベースにしたメタボが目立っている中で、まだ、置き去られた問題が存在する。例えば若い女性のやせ過ぎの問題で、女性は50代まではやせ傾向が極めて強い。その中で起こる健康障害という問題についても、正しい知識を発信する必要がある。

 女性のやせ過ぎは、本人だけではなく、妊娠中の胎児への影響も大きいことが明らかになっている。昔は小さく産んで大きく育てるという発想がもてはやされたが、最近では低体重児が後に肥満の遺伝子を獲得してメタボ予備群の子供になってしまうという問題も学問的に検討されている。

 さらに、小児の問題は、単に個人の責任ではなくて、環境や社会的背景が極めて強く影響している。教育や受験の問題、遊びや運動ができない状況、食育の問題など、環境整備が必要な部分は極めて大きい。

 また、個人がセルフコントロールし、腹囲を指標にそれを減らすことで生活改善することの必要性については十分に理解してもらっているが、実行が難しいのはなぜかという点について、社会的な要因も含めて検討していきたい。

 大きな問題である運動に関しては、自転車道の整備など運動ができる環境づくりを行政、自治体、企業などと協力して行っていくことも日本ならではの実現可能性があるプランだろう。一例を挙げれば、大阪で唯一川に囲まれたビジネス街、中之島をニューヨークのセントラルパークのように、ジョギングの道路を周囲に整備するといったことがこれからの都会でのメタボ対策であり、そのような提言ができればいいと思っている。

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■動脈硬化性疾患「診療」から「予防」へ
◆神戸市立医療センター中央市民病院院長 北 徹氏

 北徹氏は日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007」について講演した。動脈硬化に関するガイドラインは、1987年に開かれた日本動脈硬化学会冬季大会のカンファレンスで、主要な原因である「高コレステロール血症」の診断基準を提案した。その後、1997年に「高脂血症診療ガイドライン」を設定した。さらに、「NIPPON DATA」(主任研究員、上島弘嗣・滋賀医科大教授)など日本独自のコホート(集団)研究のデータにより、危険因子は必ずしも高脂血症に限らないというエビデンス(科学的証拠)が示されたことから、2002年には「動脈硬化性疾患診療」と名称を広げてガイドラインをつくった。

 ガイドライン2007は、内容を一新するとともに名称を『診療』から『予防』へと視点を広げた。「その特徴は、脂質に関しては、これまで指標としてきた総コレステロール値は、危険因子という意味から、全体像を正確にあらわしていない。このため、総コレステロール値のうち、LDL(悪玉)コレステロール(基準値140mg/dL)を前面に出した」と北氏。「高脂血症」という病名も脂質代謝の異常により悪玉が多く含まれる状態という意味で「脂質異常症」という言葉に統一した。

 また、新たに症状を「予防」の観点で分類し、心筋梗塞(こうそく)など虚血性心疾患にかかっていない人を一次予防、かかった経験のある人を二次予防として明確に分けた。

 「リスクは高くなくても長期にわたると、よくない結果をもたらすという意味で、生活習慣に気をつけておく必要があることを強くメッセージとして出した」という。メタボリックシンドロームの章を新たに設けており、「学会としても動脈硬化による病気の発症との関連にメスを入れていきたい。さらに子供のメタボや家族性の脂質異常の病気についてもどの段階で介入できるか検討していきたい」と強調した。

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■メタボのリスクを高血圧治療に導入
◆札幌医科大学教授 島本和明氏

 島本氏は、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2009」について、メタボリックシンドロームに関連して検討された部分を紹介した。

 新しいガイドラインの作成にあたっては、2つの点を重視した。ひとつは、「CASE-J」「JIKEI HEART スタディ」など日本で行われた大規模臨床試験のデータをもとに初めてつくられる日本独自のガイドラインであること。もう一つは、ガイドラインが特定企業の利益にならないなど「利益相反」にも十分に配慮して、作成委員のディスカッションをすべてオープンにするなど透明性の高いガイドラインづくりを進めたこと。

 今回のガイドラインでは、注目されていた65歳以上の高齢者高血圧の降圧目標を140/90mmHg未満とした。島本氏は「日本独自の大規模臨床試験のデータに基づいて決めたもので、75歳以上の後期高齢者の場合には、暫定的に150/90mmHgを中間降圧目標として慎重に降圧することとした」と説明した。

 メタボについては、「高血圧学会のガイドライン2004が設定された後に日本のメタボの診断基準(2005年)がまとめられたので、今回のガイドラインでは、診断基準を紹介することからスタートした」と島本氏。

 高血圧の程度と脂質異常などリスクの数により「リスクなし」から「高リスク」まで4段階に分け、それぞれの高血圧の管理計画と連携する「リスクの層別化」を行ったが、そのさいにメタボをリスクとして取り入れた。たとえば、正常高値血圧であっても、腹部肥満に加えて糖尿病以外の高血糖か脂質異常症が1-2個あれば「中等リスク」、糖尿病があれば「高リスク」となる。降圧目標は、糖尿病があれば130/80mmHg未満、糖尿病がなければ130/85mmHg未満に設定した。

 また、特定健診・保健指導については、健診の結果を医師が判断して、症状の程度により、情報提供、保健指導、病院などへの受診勧奨となる。そこで、同学会では、II度高血圧(160/100mmHg以上)より高ければ、直ちに受診勧奨とした。議論になったのはI度高血圧(140-159mmHg / 90-99mmHg)でありながらリスク因子がない低リスクの人。ガイドラインで3カ月、生活習慣を改善して様子を見ることになっているので情報提供にとどめた。

 「ただ、情報提供のさいに高血圧で、生活習慣の改善が必要であることなどを伝えることを条件にした」と島本氏は説明している。





第一生命
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    メタボリックシンドローム撲滅委員会とは メタボリックシンドローム撲滅運動キャンペーンの活動 メタボリックシンドローム撲滅運動 協賛各社の取組み
小児肥満
委員長
   松澤 佑次(日本肥満学会理事長/(財)住友病院院長)
委 員
   門脇  孝(日本糖尿病学会理事長/東京大学大学院教授)
   島本 和明(日本高血圧学会理事長/札幌医科大学学長・理事長)
   北   徹(日本動脈硬化学会理事長/神戸市立医療センター中央市民病院院長)
   齋藤  康(日本肥満学会理事/日本動脈硬化学会理事/千葉大学学長)
   渡邊  昌生命科学振興会理事長)
   中尾 一和(日本内分泌学会前理事長/京都大学大学院医学研究科 内科学講座内分泌代謝内科教授)
   齋藤  勉(産経新聞社常務取締役 編集・論説・正論・写真報道担当)
   平田 篤州(産経新聞社総合企画室長)
   宮本 幸一(ニッポン放送専務取締役)
   中村 芳章(フジテレビジョン事業局長)
オブザーバー
   上田 博三(厚生労働省健康局長)
   木村 博承(厚生労働省健康局 生活習慣病対策室長)
   春日 雅人(国立国際医療研究センター研究所長)
   小林三世治(第一生命保険 支配人・健康増進室長)
リーダー・総合監修
   宮崎 滋(東京逓信病院副院長・内科部長)
医学分野
   片山 茂裕(埼玉医科大学病院院長・埼玉医科大学内科学 内分泌・糖尿病内科教授)
   横出 正之(京都大学医学部付属病院 探索医療臨床部 教授)
   和田 高士(東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授・同附属病院新橋健診センター所長)
   柴 輝男(三井記念病院糖尿病代謝内科部長)
   中川 徹(日立製作所健康管理センタ放射線診断科主任医長)
医療・保健指導分野
   津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター副センター長兼健康開発部長)
   野口 緑(尼崎市環境市民局市民サービス室 健康支援推進担当課長)
運動指導分野
   宮地 元彦(国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム運動ガイドライン プロジェクトリーダー)
   斉藤 満((社)日本ウオーキング協会事業部長)
   菅野 隆(日本健康運動研究所代表・健康創研代表・健康運動指導士)
食事指導分野
   鈴木志保子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授)
   柴崎千絵里(東京女子医科大学病院栄養管理部)
   小野 真実(女子栄養大学栄養学部専任講師(食生態学研究室))
メタボリックシンドローム撲滅委員会
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協力団体
高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム
メディア
サンケイリビング新聞社扶桑社
協賛各社
第一生命保険相互会社 アステラス製薬株式会社 オムロン・ヘルスケア株式会社 グラクソ・スミスクライン株式会社
第一三共株式会社 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 日本酪農乳業協会
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