■予備群は保健指導で改善
ー厚生労働省生活習慣病対策室長・木村博承氏
昨年4月から健康保険組合など医療保険者に対し、40歳から74歳までの被保険者、被扶養者を対象に内臓肥満に着目した健診・保健指導の実施を義務づける法律が施行され、その法律に基づく事業を進めています。一般の人間ドックのように、疾病の早期発見、早期治療が目的の健診とは少し趣旨が違い、あくまでも早期の保健指導をもって予防につなげていこうというのがねらいです。結果的に高齢者医療費も疾病発症の抑制ができれば、より適正化の方向に向かっていくだろうということです。
最終目標は平成27年で、特定健診の実施率が80%、保健指導の実施率が60%、その結果、メタボの該当者と予備群は、20年度に比べて25%減少させるというものです。
昨年度実施のデータ(8月3日現在)では、全国平均の実施率は市町村国保では28.3%、国保組合で29.2%、健保組合で59.8%、共済組合で61.8%。各保険者間でかなりばらつきはありますが、制度1年目で実施にかかわる関係者、関係機関が多様であるということもあり、総体的に十分に健診が実施されていない面があったように思います。しかし2年目は、早めに取り掛かっており、前年度に比べて、数値はよりよいものになると思います。
今後、集まったデータについて多角的に分析し、生活習慣病の予防により一層貢献できればと考えています。
■背景に栄養分の取り過ぎ
ー札幌医科大学医学部第二内科講師・斎藤重幸氏
メタボ肥満とは何かというと、脂肪が腹部に異常に蓄積した状態です。肥満がどうして悪いのかというと、健康障害が起こることが明らかになっている。糖尿病や糖尿病予備軍になったり、脂質代謝の異常、コレステロール値や中性脂肪の値、血圧が高くなったり、痛風にもなったりする。そして、心臓病や脳卒中を起こすからです。
メタボ肥満を判定するために、日本肥満学会では腹囲を男性では85センチ以上、女性では90センチ以上をメタボ肥満にしましょうと決めました。
その科学的根拠は、CT(コンピューター断層撮影装置)でへその部分で腹部の断面像を撮って脂肪の面積を計測すると100平方センチ以上ある人に、心筋梗塞、狭心症といった心臓病を起こすような人たちが多かったからです。この面積に一致する腹囲である男性85センチ、女性90センチが判定の基準になったのです。
メタボ肥満により、心臓病になるメカニズムとしては、栄養を取り過ぎるなどして脂肪細胞が膨らむと、さまざまな悪玉物質が分泌され、血管、筋肉などに働いて、最終的に心臓病を起こす危険因子をつくっていく、というものです。
心臓病を予防するには、健診を受けて、高血圧、血糖、脂質の状況など自分の健康状態を知り、背景にある肥満を是正することが、現代の日本人には近道であると思われます。
■年に1回は「特定健診」を
ー尼崎市環境市民局市民サービス室課長・野口緑氏
兵庫県尼崎市で保健師の活動を行っていますが心筋梗塞、脳卒中、あるいは腎臓病で人工透析になられた方と出会うことがあります。その中で、「ある日突然、運が悪かったからなったんや」とよく聞きます。でも、実は違うのです。
こうした病気はいずれもが血管が傷んで起こりますが、症状が出るまでには、一切、自覚症状がない。昨年、健診を受けた人の中での一番の高血圧は280mmHg(収縮期)でした。このような健康障害に至るまでには、少なくとも10?15年はかかります。
血管が傷みはじめたと気づいたら、予防の面からは、病気の下敷きにある大本の危険因子を取り除けばいい。それが、内臓脂肪です。LDL(悪玉コレステロール)も血管を傷つけます。
心臓や脳の血管を傷つける最大の危険因子は高血圧です。長時間にわたり高圧で血管の壁を傷つけます。次いで血糖です。糖は、タンパク質とくっつく性質があり、血液の中に糖分が増えてくると、血管の壁にいろいろなものを引っつけ、傷つけてしまう。
昨年から始まった特定健診で血圧、血糖、コレステロールがすべてわかるので、ぜひとも年に1回は受診して確認してください。たとえ血圧が高くても、体重が減ることによって、血圧が下がり、薬は使わなくていいという状態になったというデータが多くあります。


























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