高血圧 進化する降圧薬(3/3)
2009.12.28

■適正な服用

 これまで、降圧薬に関する大規模な臨床試験の多くは欧米で行われ、日本人を対象とした試験はほとんどなかった。しかし、ここにきて日本でも日本人を対象としたいくつかの大規模試験が実施されており、中でもARBの一つであるバルサルタンを用いた大規模臨床試験の結果が相次いで発表され、注目を浴びた。

≪薬剤の特性で異なる結果≫

 その1つが東京慈恵会医科大学が中心として行った「JIKEI HEART Study」。この臨床試験は、3,000例以上を対象とし、従来の降圧治療にバルサルタンを追加した群で、脳卒中が40%、入院を要する狭心症が65%、心不全が46%と、従来治療群よりも有意に減少するという成績を残している。

 また、今年発表された「KYOTO HEART Study」でも、同じような結果が示された。京都府立医科大学を中心として、同じく3,000例以上を対象として行われたこの試験でも、バルサルタン追加投与群で、脳卒中が45%、狭心症が49%と従来治療群に比較して有意な減少を示したのである。これらの結果から、バルサルタンが血圧を下げる作用とは独立して、心臓・脳の血管病、つまり脳卒中や狭心症などを減少させる可能性があること。さらに、いくつか種類があるARBでも薬剤の特性によって結果が異なる可能性のあることが示唆されている。

同じ降圧効果であっても、どの薬を用いるかということは非常に重要なことである。家族に脳卒中や心臓病の既往がある場合は、治療薬の選択にあたって、かかりつけ医に相談してほしい。

 症状が進んでくると目標の血圧値まで十分に下げるのに一つの薬では難しい場合が多い。そういう場合には、薬の量を増やしたり、いくつかの薬を併用することになる。高血圧患者の場合、高齢の人や他の病気を合併している人も多く、いくつもの薬を飲んでいる人も少なくない。多くの薬を長期に飲まなければいけない場合、飲み忘れたり、途中で飲むのをやめたりと、適正な服用がしにくくなるという問題も起きている。この問題の一つの解決策として期待されているのが配合剤だ。最近、日本においてもARBと利尿薬の配合剤が認可されており、患者に対するメリットは大きい。

≪毎日家庭でチェック≫

 高血圧治療で最も大切なことは目標の血圧値を維持・管理し、脳卒中や心筋梗塞などの合併症にならないようにすることだ。そのためには、自分にあった降圧薬を正しく飲み、毎日きちんと「家庭血圧」を測り、目標の血圧値を維持できているかどうかチェックすること。むろん生活習慣を改善したうえで、こうした血圧のコントロールが適切にできれば、健康な人と同じように生活を楽しむことができるであろう。

(産経新聞 2009/12/28)


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